マインドフルネス

 http://www.lifehacker.jp/2014/01/140124mindfulness.html

マインドフルネスはLIFE HACKEより転載

http://www.lifehacker.jp/2014/01/140124mindfulness.html

マインドフルネスには、たくさんの類義語があり、
自覚、気づき、集中、覚醒などと言い換えることもできるでしょう。
では、反対語はというと、単にマインドレスネス(思慮のないこと)だけではなく、
注意散漫、ぼんやり、集中力欠如なども当てはまります。
マインドフルネスという言葉は、行為を指して使われることもあれば、精神状態を指す
場合もあります。(適切な言葉がほかにないのです)。
例えば、集中力を研ぎすます脳のトレーニングとして、マインドフルネス瞑想という
「行為」があります。


これには大抵の場合、いつもより呼吸を意識するという方法をとります。
こうして鍛えた脳は、瞑想後も長い間、マインドフルな「状態」でいられるようになります。
マインドフルネスの状態にある時は、自分のまわりで起こっていることに、意識を完全に

集中できています。


なお、後述するように、マインドフルネスの実践には、瞑想のほかにもいくつか別の方法があります。
また、瞑想にもたくさんの種類があります。


両者は,密接な関係を持ちながらも、同じではありません。
マインドフルネスとは、単純に言えば、その一瞬に全力を傾けること、と考えることが
できます。
MITマインドフルネスセンター所長を務めるジョン・カバットジン博士は、マインドフルネスについて

 

「今という瞬間に、余計な判断を加えず(中略)自分の人生がかかっているかのように真剣に、

意識して注意を向けること」と定義しています。

シンプルな定義だと思うかもしれませんが、現代の混沌とした世界では、何かに100%没頭することなど

容易ではありません。
それはつまり、同僚から同じ話を聞かされて、もう3度目になるという時でも、ほんのわずかでさえ

気をそらさずに聞き入ることや、

皿洗いや「バス停までの道」のような身近な状況でも五感をフル稼働させることを意味するのです。

 

マインドフルネスは、仏教の教えに根ざしたもので、悟りを開くために大変重要なものだと考えられています。

英語版のWikipediaでは、次のように説明されています。
悟り(菩提)とは、欲、憎悪、迷い(無明、パーリ語ではmoha)を克服し、放棄し、
心から取り去った状態のこと。
なかでもマインドフルネスは、特に、今という瞬間の)物事の本質に対する気づきで
あり、迷いへの解毒剤であり、ある種の「力」であると考えられている。
こうした能力が特に力を発揮するのは、[今起きていることに対する明確な理解]
(訳注:正知)もしくは
★「自己への気づき」)と相まった時である。

 

同じ状態を、西洋心理学のレンズを通して、新しく、非宗教的に定義し直すこともできます。
ハーバード大学教授で、心理学が専門のエレン・ランガー博士は、著書を丸一冊使って、これとは微妙に

異なる西洋心理学的な観点からマインドフルネスを説明しています。

 

ランガー博士によるマインドフルネスの定義には、重要なものとして以下のような属性が含まれています。
常に新しいカテゴリーを創造する:

マインドフルネスな状態であれば、旧来の分類方法やレッテルにとらわれることなく、状況や文脈に注意を払い、

新たな特徴を見出すことができます。

例えば、レンガを単なる建材と見るのではなく、ブックエンドや武器、ドアストッパーなど、
いろいろな利用法を思いつくことができます。


新たな情報を積極的に受け入れ、物事をさまざまな視点から捉える:マインドフルネスな状態は、
カテゴリーを創造できるだけでなく、常に新たな情報を受け取り、新たな可能性に対してオープンに
なることも意味します

例えば、あなたとパートナーはいつも自分のやり方にこだわって、同じことで

喧嘩ばかりしているかもしれません。
けれども、相手の視点に対してオープンになることで変化が生まれる可能性があります。
結果よりも過程を重視する:マインドフルネスな状態は、結果についてあれこれ心配するのでなく、
ひとつずつのステップに意識の焦点を当てる状態です。
例えば、テストの出来を心配するより、その教科を本当の意味で学ぶことです。
つまり、マインドフルネスとは、すべての経験に焦点を合わせ、より意識的になることなのです。

 

ウィリアム・ブレイクの詩「無垢の予兆」(Auguries of Innocence)の冒頭の一節には、このような

注意深さがうまく表現されていると個人的に思います。

一粒の砂に世界を求め
野の花に天国を見出す
掌の中に無限を捉え
ひと時のうちに永遠を築く

だから何?と思う人もいるでしょうが、上の定義からもうかがえるように、マインドフルネスを高めれば、

集中力が増し、創造性や幸福感、健康、リラックス感が高まり、もっと自分をコントロールできるように

なる可能性があります。
かけがえのない「この瞬間」に、より深く感謝できるようにもなるでしょう

(この瞬間は、誰にでも等しく与えられています。 これってスゴいことですよね)。

ではここからは、マインドフルネスに関する最新の研究の成果を

いくつか見ていきましょう。

 

記憶力と学業成績を向上させる(心理学関連ブログ「PsyBlog」)。
この研究では、学生に注意力を鍛える訓練を行ったところ、集中力の向上(もしくは「上の空の状態」
の減少)、短期記憶の向上といった効果が見られました。
GRE(大学院進学適性試験)のような、対策が難しいとされる試験の成績すら良くなったそうです。

減量や健康的な食生活に役立つ。

マインドフルネスの考え方を食事に当てはめれば、五感をフルに使いながら、

一噛み一噛みを意識してゆっくり食べることになります(米ハーバードメディカルスクール、米誌『Womens Health』)。
この食べ方を実施した被験者たちのカロリー摂取量は、空腹時でさえ、対照グループに比べて低く抑えられました。
意思決定能力を高める。

 

いくつかの実験によって、マインドフルネス瞑想を実施した人や、もともと

性格的にマインドフルネスの状態に近い人は「サンクコストの誤り」を免れているという相関関係が確認されました。

 

サンクコストの誤りとは、それまでに費やした時間やエネルギーを惜しんで、
先の見込みのない交際や仕事にしがみついてしまう傾向を言います。

(英国心理学会のブログ「BPS Research Digest」)。

 

ストレスを減らし、慢性的な健康問題の改善を助ける。20の実証研究を対象にしたメタ分析によって、
マインドフルネスは、慢性疼痛、ガン、心臓病などの患者の心身の健康をいずれも改善させることが

明らかになりました(専門誌『Journal of Psychosomatic Research』)。
免疫力を高め、脳に好ましい変化をもたらす。
実験協力者に8週間にわたってマインドフルネス瞑想を指導し、その前後に脳の活動を
測定した研究があります(専門誌『Psychosomatic Medicine』)。
これまでにわかっているマインドフルネス瞑想の脳への効能が、すべてもたらされる。
集中力や創造性の向上、不安やうつ病の軽減、人を思いやる心の向上など...。
ここに挙げたのはほんの一例です。


残念ながらマインドフルネスは、スイッチを押せばいきなり切り替えられるようなものではありません。
ある日を境に、それからの人生をずっとマインドフルネスの権化として生きていけるものではないのです。
けれども、徐々に高めていくことはできます。
集中力を高めるには、気が散らないように自分で気をつけて、マルチタスクな仕事術を真似しない、

という方法もあります。

でも、気が散るのを助けてくれるツールは世にごまんとあり、その助けを借りたって良いので。

マインドフルネスを実践するには、どんなに忙しくても、どんなにストレス
のたまる状況でも、いつも意識を研ぎ澄ましていなくてはいけないのですから
(実際そういう時は、マインドフルネスがもっとも役立つ場面でもあります)。
まず手始めとして、どうしてもぼんやりしてしまう日でもすぐ我に返れるよう、あらかじめきっかけや

手がかりを作っておくと良いでしょう。
例えば食事中であれば、フォークを置くたびに、「一噛み一噛み味わって食べる」という目標を思い出すようにしましょう。
職場でなら、「1時間ごとの時報」などのリマインダーを設定して、
ちょっと休憩をはさむと良いでしょう。

子どもの相手をする前に ひと呼吸置けば(相手が大人でも同じことですが)、相手との関係について、

もっとマインドフルでいられるでしょう。
ほかの実践方法を見ても、感謝の心を持つ、物事をコントロールしようとしない、など、意外に簡単なものがあります。
上に紹介した研究の中に、大学生にマインドフルネスの訓練を行ったら記憶力や学業成績の向上が

見られたというものがありましたね。
この実験で用いられた訓練には、以下の6つのステップが含まれていました。

1.背筋を伸ばして座り、足を組んで、視線を下に向けます。
2.自然に浮かんでくる思いと、人為的な考えとを区別します。
3.繰り返し過去を思い出したり、未来への不安で気が散るようなら、それを最小限に抑えるために、
こう考え直してみます

「過去も未来も、現在の私の心の中の想像にすぎない」。
4.瞑想中は、ちょうど船の「錨」のように、呼吸が集中をつなぎ止めてくれます。
5.息を吐くたびにひとつ数を数え、21まで数えたらまた1に戻ります。
6.思いが浮かんでくるのを無理に抑えようとせず、心を自然に任せます。
この一連の手順は、マインドフルネス瞑想として知られているので、ご存知の方もいるかもしれません。
マインドフルネスを育む最高の方法のひとつです。


これは一種の脳のエクササイズで、普段の生活を送りながらでも実践できます(続けやすくするひとつの戦略は、

シャワーや犬の散歩など、毎日の日課の最中にこの訓練を行うことです)。
最後にひとつ注意事項を。
マインドフルネスの実践はとても有益ですが、心を自然に任せたほうが良い時もあります。
米紙『ニューヨーク・タイムズ』は、創造性や洞察力のためには、ぼんやりした
り空想にふけったりすることが必要である可能性を紹介しています。
またこの記事によると、高度にマインドフルネスな状態は、「潜在的学習」(無意識のうちに、
新しいスキルや習慣を学ぶこと)における効率の低さと相関している可能性があるようです。
こうした残念な研究結果もありますが、俗事と精神世界のどちらにも偏らない「中道の教え」を説いている

仏陀であれば、マインドフルネスを利用すべき時と放棄すべき時があるということにも、
きっとうなずいてくれるでしょう。


深遠な真理を発見したり、試合や試験で成功したりするには、
マインドフルネスが有効ですが、そんなことは忘れて、万物の中に心を解き放つべき時もあるのです。
この考え方に賛同すると決めたなら、あなたにとって必要なのは、意識の集中と精神の
休息の時間配分について、自分の中で最適なバランスを見つけることです。 
たくさんの類義語があり、
自覚、気づき、集中、覚醒などと言い換えることも できるでしょう。